前回の続きで、ローター部の清掃、グリスアップ、組立を行ないます。
ローターはリールのパーツの中でもっとも汚れが溜まりやすい筆頭です。
水分をたっぷり運んでくるラインに近い部分にあり、ラインローラーでラインが直角に曲がるときに、その水分の多くが弾き飛ばされてローターに噴霧されます。
砂利についても同様で、サーフがメインのフィールドの場合は、ローター内部は砂利だらけになっています。
しっかりと汚れを落として、錆びや腐食がでないようケアしていきます。
はじめにローター部にはもともとグリスが多めに塗布されていますので、古いグリスを綿棒でできるだけ取り除いてからブラッシングします。
ただし、ベアリングについてはブラシや綿棒でゴシゴシ擦るのは良くないので、そっと汚れだけを落とす程度にしてください。
砂利がひどいときは、エアダスターやコンプレッサーによるエア洗浄が有効です。隙間に入り込んだ汚れはブラシだけではなかなか取り除けません。
どのくらいきれいにするかは、人それぞれですので、これで良しと思うところまできれいにしてください。
ブラッシングの際に、とても小さなパーツや,調整シムなど薄いパーツが残っていることがありますので、注意深くブラシや綿棒の先を見ながら行なうと良いです。
各パーツの清掃が完了したら、グリスを塗布しない部分(表面部やベール、カバーなどのメッキパーツ)は防錆・防汚剤(魔法のヴェール)で保護膜を作っておくと安心です。
それではグリスアップ、組立に入ります。
まずローターのベール取り付け側から組み立てます。
内ゲリレバーと納まる溝部分にACE-0グリスを塗布します。
次にアームバネ一式にグリス塗布し、丸い突起が穴に入るようセットします。
ベールの取り付け部にグリスアップしアームバネを穴に入れてから、センター位置を合わせます。
バネによる反発が嫌な場合は、バネカバー(バネが入る黒いプラスチック)の突起を穴に入れないで固定ボルトを止めても大丈夫です。
この時白いプラスチックカラーを先にベールのネジ穴に入れておくとスムーズです。
きちんと収まったら、ベール取り付けカムカバーをセットしてからカバーをつけます。
次にアームカム側です。
グリス塗布してから、音出しバネ、音出しピンをセットします。
アームカム内側にもグリスを塗布し、固定ボルトで止めます。この時小さな調整座金を入れ忘れないよう注意してください。忘れると、アームカムの動きが非常に固くなります。
こちらはバネによる反発はありませんので、安心して取り付けてください。
次にラインローラーです。注意点はアーム固定軸というメスネジに、収まるべき位置があること、ラインローラーに上下があることです。
アーム固定軸は正しい位置だと少し奥まで入り軸が回転しなくなります。
ラインローラーは溝がベール側に近くなる向きで入れてください。
ラインローラーは撥水加工が施されているため、注油はNGです。
唯一塗布できるのは、シマノの超撥水グリス(DG-018)だけです。
ベアリングカラーをラインローラー上下に挟むように取り付けます。
固定ボルトで締めていきますが、この時アーム固定軸がボルトに押されて正しい位置から外れてしまうことがありますので、注意してください。
ローターが出来上がれば、あとは本体に取り付けていきます。
ローターナットには中心にベアリングとワッシャーが入っており、メインシャフトを通していくうちに上に上がってしまうのでベアリングが浮き上がらないように注意しながら入れていきます。
一度浮き上がって、そのままベアリングを入れてみると、少しベアリングが浮いている時があります。これはワッシャーが正しい位置に入っていない状態なので、ナットと面一になるようよく見てください。
ナットは逆ネジなのでは時計周りで締まっていきます。締めるトルクはありますが、強すぎず・弱すぎずというくらいで、その上に黒い緩み止めがつきますので、ネジ穴の位置が合うところを探して締めてください。
ドラグ音を出すためのラチェットというパーツは、その上に乗る金色のぱーつの下側についている丸い針金の突起部が正しい位置に入るとカチッと水平になります。ラチェットを回しながら、正しい位置を見つけてください。
0.89mmの六角レンチドライバーでイモネジを取り付けます。このイモネジがあまりユルユルだとドラグ音がでないことがありますので、注意してください。
ドラグ音出し部もグリス塗布します。
最後にスプール座金をセットして完了です。