こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、シマノ08ステラSW20000PGという大型スピニングリールの定期メンテのご依頼です。
特に不具合があるというわけではなさそうですが、今シーズンも活躍してもらわなければいけませんので、万全の状態に仕上げておこうとご意向のようです。
この機種については、ほとんどの純正パーツがメーカー在庫なしの状態になっており、ギア周りの交換ができません。相手が大物ばかりですので、当然ギアへの負担は非常に大きく、かつ10年以上活躍を続けているため、ギアノイズは出ている個体がほとんどです。しかし、ギアノイズによって致命的な支障が出るということはありませんので、錆びの除去、防錆・防汚加工・グリスアップをしておけば、まだまだハードなファイトでも十分こなせます。
その機種の弱点は、後継機種ほどの防水性能がないことにより、スプールを上下させるための摺動子周りのパーツに錆が出やすく、破損につながっているケースが多いことです。塩ガミしないように気をつけて、錆びが出ないようにきっちり対策することで、トラブルを回避できますので、そのあたりを重点的にケアします。
今回のリールは、かなり状態が良好で、ギアの摩耗も非常に少ないので、ドラグフルロックで巨大魚を力でねじ伏せるようなフィッシングスタイルには使わなかったようです。
しかし、ギア周りのグリスはほとんど残っておらず、潤滑不足の一歩手前の状態でした。
グリスが乾いてくると潤滑不足になり、塩分との戦いに負けて錆が所々に出てきます。錆が出ているところは、グリスの兵力が塩の攻撃に耐えられなかったことを示す個所で、ただちに新しいグリスを投入してあげないと完敗ということになってしまいます。
一番のウイークポイントである摺動子周りを見てみると、やはり錆びが出始めており、無傷でいられるギリギリの状態でした。
大型のリールの場合、やはりドラグ性能が最も重要な部分なので、スプールのお手入れは多くの釣人が念入りに行っていますが、内部のギア周りまではなかなか手が出ないので、次のオーバーホールまではきっちりとグリスが残り、潤滑不足によるトラブルが起きないよう120%の措置を講じておきます。
特に摺動部とドライブギア、ピニオンギア周りのベアリングには強力なグリスシールを施し、防水性能を補えるよう工夫しています。
今シーズンも数十キロという魚をとらえるのだと思いますので、できる準備は完璧にというスタンスで作業いたしました。