こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、カゴ釣りなど遠投系の釣りに絶大な人気を誇るAMB6500CSロケットのOH依頼です。コマセカゴ付きの仕掛けを100m先まで遠投して、回遊している青物を堤防から釣り上げるというダイナミックな釣りによく使用されるリールです。
スプール・レベルワインド連動型の構造になっていて、一見レベルワインダーの動作抵抗により飛距離的には不利なように感じますが、非連動型のリールより結果的には遠くまで飛ばすことができます。これはラインの太さ・種類とスプールの横幅に起因するラインとレベルワインドガイドの抵抗が、レベルワインダーの動作抵抗より大きく影響するためです。スプールに巻かれたラインとレベルワインダーの位置が常に同じであることが、ラインとガイドの摩擦を最小限に抑えてくれるため、安定的に長距離の遠投が可能になります。
したがって、このリールの遠投性能を高い水準で維持するためには、レベルワインダーの動作抵抗をできるだけ小さくすることがキモになります。
そのため、通常グリスで摩擦を抑えるべきウォームシャフトにも、多少の摩耗は覚悟のうえでオイル仕上げにするなど、ぎりぎりの調整で工夫されている方が多いです。
今回のお客様は、カゴ釣りだけではありませんので、そこまでぎりぎりのセッティングは必要なく、通常のOHでコンディションを持続できる仕上げをご希望です。
各部を見ていくと、全体的に塩ガミが多く、回転性能は新品時よりかなり低下しています。ハンドル回転も若干重たく、あまりスムーズに巻き取りができていません。特にスプール回りの塩ガミは飛距離に大きく影響するため、しっかりとしたケアが必要です。
このリールの飛距離低下のよくある原因の一つが、ウォームシャフトのカラー(ベアリング)の回転不良です。
パーツだけの状態にしないと回転の悪さに気づくことができないため、知らず知らずに飛距離が落ちているという状態になっています。このカラーは取り外すことができないため、塩による固着が起こった場合、最悪ウォームシャフトごと交換しないと本来の性能に戻すことができません。重たいけど何とか回転はするというレベルの場合は、お湯に漬けて塩を溶かしてしまうと良好な状態に戻すことができます。塩分を除去してから、オイルやグリスできっちり保護してあげれば驚くほど飛距離が出ることがありますので、心当たりがある場合は、ウォームシャフトのカラーをチェックしてみてください。