こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、ABU AMB9000CLのオーバーホールです。ハンドルは重くなり、レベルワインダーが外れた状態で使用不能になっていました。レベルワインダーについては、止めているEリングが破損して外れていることが多いので、恐らくそれが原因だと思いますが、ハンドルの重さは塩ガミなどが大きく影響している感じの外観です。
錆び、腐食がないと良いのですが、クロームのリールなので、比較的錆びや腐食には強く、除去することで良い状態になることが多いです。
早速分解してみていきます。
ハンドル側のギアボックスは、塩ガミはあるものの、錆びなどは少なく、思っていたより悪くない状態です。
ギア周りもグリスはかなり汚れていますが、緑青はほとんど発生していませんので、そこまで塩にやられている様子ではありません。
そして反対側のカバーを開けてみると、ハンドル回転の重さの原因がありました。
潤滑は完全になくなっており、乾燥した砂漠のような状態になっています。この状態では、回転運動は不可能ですので、できるだけ塩を落としてグリスアップで潤いを戻してあげます。
このくらいの状態になると、コグホイールも回転せず、連動するレベルワインダーも抵抗が大きくなるため、止めているリテーナも外れたり、破損したりします。腐食により、わずかにウォームシャフトの直径が大きくなったりしているので、貼りついている腐食部分は研磨して元の直径に戻します。
スムーズに回転できる状態を確認してから、再度グリスアップをし直して組み上げていきます。
可動各部が抵抗なくスムーズに動くようになれば概ね復活ですので、あとは小さなノイズが出ないように微調整を行っていき、カシャカシャとかシュルシュルというノイズをできるだけ消していきます。
真鍮のギアに付着した緑青は、柔らかい真鍮ワイヤーブラシで力を入れずに研磨して落とします。ワイヤーブラシで研磨した後は、除去された付着物がギアの溝に残りますので、必ず歯ブラシでもう一度ブラッシングしてできるだけギアの歯に異物がない状態にしておきます。ここに目に見えないようなわずかな異物が残るだけで、回転時にゴトンゴトンと微振動が生じますので要注意です。
スプール両軸を支えるベアリングは塩ガミしていますので、新しい高速回転向けのものに交換します。
これだけの塩にやられても負けない強さを持っているとは、さすが世界のABU、その中でもさらに強いクロームメッキです。泳がせやカゴ釣り、地磯での釣りなど、塩にさらされる頻度の高い釣りでは、この防御力が心強いです。