ABUカーディナル33のベール動作不良改善

こんにちは Selffishの鈴木です。

今回は、ABU カーディナル33のベール動作の改善とOHのご依頼です。

このリールはさすが伝説の名機だけあり、コアなファンが非常に多く、未だに頻繁にOHのご依頼をいただきます。特にトラウトなど渓流のルアーフィッシングで愛用されている方が多いので、錆びなどが出ていることはほとんどありません。それもそのはず、水道水よりきれいな水に触れるフィールドですから、よほどのことがない限り錆びや腐食は出ません。ただし、魚と一緒の写真を撮るために、水に浸かってしまうことはありますので、若干のお手入れはもちろん必要ですし、細かい砂利が入ることがありますので、定期的に分解清掃、グリスアップはしてあげた方が良いです。

今回のケースもよくある事例ですが、ベールがきちんと戻らなくなるなど、動作が悪くなり、セルフメンテナンスで分解清掃したところ、ベールスプリングの変形により、うまく組み上げられない状態になってしまいました。

折角なので内部のグリスアップも含めてOHしてもらおうという流れです。

これは非常によくあるケースで、パーツ点数は少なくて簡単そうに見えますが、意外とデリケートな部分が多く、バランスよく組み上げていかないと、さっぱり良くなりません。日本製のリールの方がパーツ点数は多いですが、部品の精度が高く、一定のルールで組み上げていけばほぼ同じ状態に仕上がります。クラシックな風合いのリールは、パーツの変形などちょっとした変化を感じ取りながら、バランスを考えて組んでいく必要がありますので、難易度は高いと思います。

今回はベールの動作を正常に戻すとともに、内部のギア周りやドラグの状態も見て、できるだけ長持ちさせることを優先してグリス稠度を決めていきます。

ベール部の動作不良は、複合的な原因から途中で止まったり、最後までカチンと気持ちよく戻らなかったりしますので、汚れやベール支点部分の摩耗具合、隙間を見ながらスムーズな動作になるようセットしていきます。

 

スプリングは変形していますので、新しいものに交換して組み上げます。

ベールを起こすと、カチッと正しい位置で止まり、ハンドルを回すと、オートリターンでカチンと気持ちよく戻る状態を目指して調整します。

次に内部の状態も見ていきます。

やはり内部に錆びなどはなく、状態は良好です。グリスは古いものなので、除去して新しいものを塗布し直します。

 

ドラグ周りも破損や消耗はなく、グリスアップでコンディションを整えます。

ハンドルを回したときのストッパーから出るカリカリ音を、小気味の良いサウンドにするようキビキビ動くグリスに調整します。

最後に乾燥して色褪せたスプールとハンドルノブも「魔法のヴェール」で保護して、生き返らせます。

これでカーディナル33がリフレッシュできましたので、あとはフィールドで名機を堪能してください。

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