こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、ミッチェル410という珍しいリールのオーバーホールです。
20年以上使用されない状態で保管されていたリールとのことで、再び使ってみようと見てみると、ベールが動かない、ハンドル回転も重たいという状態で、何とか蘇らせたいとのご要望です。
オールドリールの代表格のようなリールですので、パーツの入手も困難で、どこまでできるか分かりませんが、できる限り良い状態にできればと思います。
このメーカーのリールは、構造がとても独特で、からくり人形を連想させるようなギアの使い方をしています。
5つものギアが連動してローターの回転、メインシャフトの上下動などを滑らかに動かす仕組みになっており、どういう頭脳の人が考えたのだろうとため息が出るようなリールです。スプールの上下動も日本製のリールのように単調なものではなく、波を打つように上下したり、所々に芸術性を感じずにはいられません。
さて、今回のリールの不具合の1点目である「ベールの動作不良」については、アームカム、ローター部を分解してみると、錆びと塗装が剥がれて粉状になった物体が内部に溜まっています。
錆を丁寧に落として、粉も除去、防錆処理を行ない動作の復活を試みます。ベールの付け根が弱く、破損しやすいので注意しながら作業を進めます。
ベールの変形もあるため、正常な状態になるよう整形し、組み上げしてみます。ベールの開閉動作は正常に戻りました。
つづいて、ハンドルの重さですが、内部のグリスは、劣化してかなり硬い水あめ状になっており、ギアの回転やシャフトの上下動の大きな抵抗になっています。こちらもオイルで溶かしながら除去し、新しいグリスを再塗布します。
ハンドルノブのきしみやスプールの汚れ、ドラグの潤滑不足、錆びなどもすべて処置し、どうにか正常な状態に戻すことはできました。
各部の劣化は激しいので、どこで不具合が出てもおかしくない状態ですが、そのたびにケアしながら大切に使っていただきたい価値あるリールです。