こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、シマノ 01ステラSW6000PGのオーバーホールです。すでに20年以上が経過し、現役で活躍している個体は少なくなってきている中、貴重な1台です。長い年月を戦い続けてきたリールですので、敬意を払いながら作業させていただきたいと思います。
このリールは、2003年のカタログから掲載された機種で、比類なき耐久力と巻き上げの軽さをセールスポイントとしていました。すべてのパーツ素材に耐久性を求め、超々ジュラルミンA-7075のギア、チタンコーティングジルコニアスプールリング、ディスクドラグシステムを採用するなど、一切の妥協のない形に仕上がっています。
現行のステラSWと比較してみると、このころから塩との戦いは続いており、弱いと分かった部分をさらに強化して進化を遂げていることが分かります。当時からの設計者のフロンティア精神により現在のリールがこれほどまでに完成されたリールになっているのだと感激します。
早速分解に入りますが、各部に錆びや腐食が多いため、丁寧に除去し、オイルを注しながら、破損しないように注意しながらの分解作業になりました。通常より時間をかけてゆっくり丁寧に分解していきます。
本体内部まで塩が入り込み、グリスはほとんど機能していない状態でした。
マスターギア、ピニオンギアはさすがに耐久性に力を注いだだけあり、これだけ塩にやられている中で、ほとんど損傷のない状態です。驚きです。
ウオームシャフトやアームカムも状態はよくありませんが、損傷はないのでどうにか使用可能な状態にはできそうです。
一番被害が大きかったのは、ローラークラッチ部とボディーガード内側でした。
海水が最も入りやすい部分がここであることが良く分かります。この次のステラSWからは、この部分はカバーがキャップ式に進化しており、海水が入り込まないような構造に改良されています。そしてさらにその次のステラSWからは、ボディシールが切れ目のないゴムパッキンに進化しています。
錆びを落として専用のオイルで仕上げます。破損している部分もあるので100%のスペックというわけにはいきませんが、どうにか使用できる状態まで蘇らせてみます。
心臓部であるギアが生き生きとしているので、摺動部など破損しやすい箇所を厚めに手当てしながら、これからも活躍してくれることを願って組み上げました。