こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、シマノ19ステラSW14000PGのオーバーホールです。年に何度も遠征をするプロアングラーで、同シリーズ7機同時のOH依頼です。出番が多いのは14000番で、XGと合わせて7機中5機がこの番手です。みっちりとお手入れをしている暇もないくらいのスケジュールなので、リールの方は各部が塩ガミしている状態だと思います。
この機種は、言わずと知れた最高峰のソルト専用大型スピニングリールで、パワーと耐久性をさらに進化させた絶対的な強さの象徴となるモデルです。さらに、巻上げ性能を大幅に向上させ、軽く、強く、大物とのファイトを前提とした性能になっています。ドラグ性能の低下を起こさないヒートシンクの採用や、水圧にも負けないXプロテクトなど過酷な環境下でも100%のパフォーマンスを発揮するよう仕上げられています。
まだ現行モデルということでそれほど年数が経過してないリールですが、釣行回数に比例して塩からの攻撃量は増えますので、当然各部に塩ガミが出ています。しかし、錆びによる固着が起こる前に釣行が来るため、そのたびに全体が動かされますので、ギアなど動作している部分は全く固着しません。動かない部分に錆びと固着が発生しますので、その部分をきっちり防錆処理しておくことが重要になります。
ボディ内部は、付着しているグリスはきれいで、一見コンディションは良いように見えますが、よく観察すると、グリスのない部分に塩の塊りや腐食が出ています。このレベルの使用回数になると、グリスの塗布されていない部分から塩ガミしますので、ボディ内部全体に塩に強いグリスを塗布しておくと腐食が起こらず、長持ちします。
ギア周りは、これだけ大物とのファイトを繰り返しても、ほぼ摩耗していないくらい強靭なものになっています。
こちらもよく見ると、グリスのない部分に塩の結晶があります。グリスで保護することの威力がよく現れています。
摺動部は塩が溜まりやすい部分で、ほとんどの場合塩ガミしています。時には今回のように摺動子部が破損していて要交換となる場合もあります。塩ガミしているガイドの部分が破損してます。
ウォームシャフト周りはグリス切れになっていますので、ぎりぎり錆が出ていない状態で、危ないところでした。
ローターやアームカム部は水洗いで塩分を落としやすい場所なので、比較的きれいな状態です。こちらも、毎回の水洗いに負けないようグリスをきっちり乗せておきます。
ドラグ周りはどうしても、勢いよく引き出されて熱を持つため、グリスが飛んでしまう部分です。高温にならないようグリス塗布が欠かせませんので、定期的にグリスアップすると安心です。
固定ボルトやガード部のメッキパーツなど使用してもあまり動きがない部分が一番固着しますので、厳重に防錆処理しておくと良いです。