こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、ABUカーディナル77のオーバーホールです。カーディナルファンのお客様で、同時に44Xと66もご依頼いただきました。中古購入のもので、内部チェックとリフレッシュをご要望です。
なかなか珍しいモデルのリールで、北海道のアングラーからたまにご依頼があるくらいの希少リールです。
構造はよく見るカーディナル33と基本的には同じですが、ベールのオートリターン機構部が強度の高い設計になっています。
新品で購入後そのまま保管していた時期が長いものだと、かなりグリスが劣化しているので、グリスを新しいものに乗せ換えるだけでも効果の高いOH作業になります。
順に見ていくと、まず本体カバーを開けてすぐに粘度のような硬くなったグリスが残っています。この粘性の高いグリスのおかげで、長年錆びもなく、ギアの歯をも摩耗せずに良いコンディションを維持してきましたが、さすがにハンドル回転が重く、使い勝手は悪いのでもう少しキビキビとした動きになるよう仕上げていきます。
このシリーズによくあるベールの戻りの悪さは、ベールスプリングの劣化や汚れ・塩ガミによる動作不良、ベール変形による動作抵抗などがあり、それぞれに正常な状態かどうか確認しながら清掃・防錆処理をしていきます。
ハンドル逆転を防止するためのアンチリバースパーツが削れているケースが多いので、こちらもチェック項目になります。このリールは大丈夫でした。
ドラグダイヤル内の汚れや、ドラグワッシャーの汚れも落として、きれいな状態にします。
ドライブギア、ピニオンギアはわずかな摩耗はもちろんありますが、大きなノイズや振動が出たりすることはないので、ギア用のグリスでケアします。
ベール、ベールマウント部も汚れと古いグリスは除去して、新しいグリスで仕上げます。
コネクティングリンクの変形もチェックします。このパーツはあまり気にされないパーツですが、非常に役割としては重要で、常に正常な状態を維持していないと、正しく機関部が働かないことになります。伸びていることも縮んでいることもありますので注意して上死点、下死点の位置を確認します。
ひと通りの作業をすると、ハンドル回転が軽くなり、クリック音も小気味の良い音に変わります。
各パーツへの負担も最小限になりますので、オールドリールをより長く愛用するにははオーバーホールが不可欠です。