こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、ミッチェル308のオーバーホールです。ベール動作に不具合が出ておりこのままでは使用できない状態です。ハンドル回転も重く、だいぶ酷使された状態になっていますので、これを機にリフレッシュしていきます。
まず、ベールの動作不良については、ほとんどの場合、ベールスプリングが原因で、整形あるいは交換することで正常な状態に戻ります。稀に、ベールの変形とベールマウント部の経年劣化による破損が原因となっていることがありますが、その場合は、ローターごと交換しないと完全には修理できません。きれいに仕上げて殿堂入りするというケースも過去に経験があります。
今回のリールは、塗装剥がれはありますが、パーツの破損はありませんので、一つひとつを正常な状態に整えていけば、実釣可能になるはずです。
本体内部を見てみると、新品当初からのグリスがそのままになっており、かたい水あめのような状態です。こちらはグリスとして機能しませんので、すべて取り除き、新しいグリスに乗せ換えていきます。
アンチリバース動作を司る線状のスプリングもグリスの塊りに固められ、身動きが取れない状態になっているので、ハンドルの正転・逆転を切り替えることができない状態です。こちらも硬いグリスを取り除き、最新のグリスで状態を整えます。
ベールスプリングは若干変形しており、すぐに外れてしまう状態になっていますので、整形して焼き入れしておきます。スプリング自体の劣化はなく、破損の心配はなさそうです。
独特なオシュレート動作をするこの機種は、遊び心がたっぷりと仕込まれており、さすが芸術の国フランスの作品です。スプールの動きを見ているだけで、幸せな気持ちになります。
ローター周りは、劣化が進んでおり、塗装剥がれが広範囲に起こっています。土台の金属が腐食しないよう防錆処理をしておきます。
淡水のみの使用なら寿命は延びますが、海水で使う場合は、毎回防錆処置をしてあげないとひび割れなど修復できない事態になってしまう恐れがあります。手は掛かりますが、大切にしてあげたい貴重なリールです。