こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、ABU AMB2500Cのオーバーホールです。こちらは、先に釣具店からメーカーに修理依頼としたところ、パーツ在庫がなく修理不能で返却されたもので、だめ元で良いからと当店に依頼されたものです。
さすがにこの年代になるとメーカーさんの修理も対象外となりますので、通常のリールなら壊れたら殿堂入りということになりますが、AMB2500Cとなると、どうにかして直して使いたいという気持ちもよく分かります。
今回のリールについては、グリスアップの状況やパワーハンドルの換装などから察すると、キャストをそれほど必要としない沖釣りのようなスタイルで使用されていたようです。塩に負けないようグリスがきっちりと塗布されており、回転性能よりも防御力を重視したメンテナンスになっていました。その成果として、塩による腐食や錆びはほとんど見られず、パーツの破損などもありません。
この状況を踏まえ、腐食しやすいカバー部やフレームについては強力な防錆処理を施し、グリスも塩に強い組成のものを使用して作業します。
各部のグリスと汚れを除去し、同時にパーツのチェックをしていきます。
ほとんどのパーツは、錆びや破損もなくまずまずの状態でしたが、唯一ピニオンギアのみ摩耗が進んでおり、スプールとの連結部分が弱くなっている感じです。
メーカーからの修理不能の報告書にも、ギア抜けの原因がピニオンギアであることと、パーツの在庫がないため修理不能であることが書かれていました。
これはよくあるケースで、特にパワーハンドルを使って強い力を掛け続けることで、想定よりも早くギアの連結部が摩耗・変形してしまったという状態です。メーカーさんの在庫がなければ、状態の良い中古パーツを探す以外、改善する方法はありません。中古パーツの場合、同様に摩耗しているものしか手に入らないことが多いので、なかなか難しいところです。
今回は、非常にラッキーなのですが、当店に15年くらい前に発注していたピニオンギアが2個残っており、それを使うことができました。
ドライブギアはないので、ギアの噛み合わせに若干調整が必要ですが、ギア抜けは起こらないようにできそうです。
これで、リフレッシュとともに不具合も改善できたと思いますので、まだしばらくは活躍してもらえそうです。