こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、ABU AMB6500CSロケットのオーバーホール依頼です。
最近飛距離が落ちてきたので、セルフメンテナンスをしてみたが、動作がぎこちないのでチェックおよび改善してほしいとのことです。
この機種は、昔からカゴ釣り師たちの間では定番中の定番である6500CSロケットシリーズの比較的新しいバージョンで、2017年にリリースされました。カゴ釣りをメインターゲットとし、新たに進化したギア比6.3のハイスピード設計、パワーハンドルの標準装備など多くのユーザーに要望されていた点を盛り込んだリールです。
卓越した飛距離はそのままに、キャスト中のブレーキ調整が可能なパーミングサイドのキャップ装備など機能性重視の設計になっています。
飛距離が落ちてきた原因となる部分を重点的に見ていきながら、全体をオーバーホールしていきます。
この機種の飛距離に関係する部分は、スプール内のベアリング2個、レベルワインド関連部、スプール軸のスムーズな回転、ブレーキの当たり方が主な部分になります。
順番に見ていくと、まずスプール内ベアリングについては、グリスによる回転の悪さが出ていましたので、オイル化して高速回転できるように性能アップします。この時あまり揮発性の高いオイルを使用すると、重量のある仕掛けを遠投するため、すぐに芯がぶれ始めてしまうので、できるだけ持続力のある低粘度オイルを使用します。
次にコグホールの回転を見ると、やはりグリスで若干回転が重くなっていますので、こちらも純正よりも低粘度のグリスで仕上げます。回転軸にはオイルを塗布します。
レベルワインド部、ウォームシャフトはオイル仕上げの方もいるくらい粘度を低くしたい部分ですが、その分お手入れが大変になるので、回転性能と持続性のバランスを考えたグリス・オイルで仕上げます。ウォームシャフトの樹脂部分に塩ガミすると、非常に回転が悪くなるので常に潤滑を切らさないよう注意が必要です。
スプールシャフトとピニオンギアのクリアランスもチェックし、きちんとセンターが確保できているチェックします。
本体内部を見ていくと、こちらはきちんとグリスで整備されており、ギアの摩耗を抑えられる形のメンテをされていました。この機種は内部に塩ガミしているケースを今までよく目にしてきましたので、海水が内部に浸入しやすいことを前提に防御力の高いグリスを使用して、腐食が出ないようにケアしておきます。
新品の状態でかなり厚めのグリスアップをされていますので、それ以上の防御力が出るクオリティの高いグリスを薄く塗布していきます。
100m以上の飛距離を出し、青物を相手に戦う豪快な釣りなので、オーバーホールでは通常とはちょっと違う仕上げをしていきます。