こんにちは Selffishの鈴木です。
今回はスコーピオンMD301XGLHのオーバーホールです。
本来はモンスターバスをターゲットとしたビッグベイト専用リールですが、海水対応になっているため、海で使用するユーザーも多い機種です。8キロという最大ドラグ力と、エクストラハイギアの組み合わせは、むしろソルトで本領を発揮するスペックではないかと思います。
今回のお客様もほぼ海の男で、リールの大敵である塩に悩まされるユーザーさんです。
今回のケースは、少しの間出番がなかった当機が、いざ使おうとチェックしてみると、クラッチレバーが動かないという不具合に見舞われていました。クラッチレバーの動作不良にはいくつかの原因がありますが、最も多いのは、ピニオンギアの固着です。
クラッチレバーの押し・戻しにより、ピニオンギアが左右にスライドして、ギアとスプールが切り離されたり、連結したりします。そのピニオンギアがスライドしない状態になると、クラッチレバーが動かない、あるいは非常に硬くなります。
本来独立した4個のパーツが、塩による固着でアセンブリーパーツのように一体化すると、クラッチレバーで押したくらいではビクともしなくなり、無理をするとプラスチックパーツが破損します。
今回の不具合もピニオンギアとベアリングが固着したための動作不良でした。
少しの期間出番がないと、全く動かさない状態が発生するため、塩分がリールの内部でコソコソと暗躍し始めます。海水(汽水)フィールドで使用するリールは、どうしてもリールの各部に海水をかぶりますので、丁寧に水洗いしてもすべて取り除くのは困難です。
そんな状態のリールをこのような不具合から守るための唯一の方法は、ハンドルを回して動かすことです。
塩による錆びや腐食で各パーツが固着するためには、全く動かない状態がしばらくの期間続かないとなりません。
例えば1週間に1回ハンドルを1回転だけさせれば、このような不具合は起こりません。
オーバーホールにより水分の除去とグリスアップを施しますが、釣りに行くたびに内部までのオーバーホールをするというのは現実的ではありませんので、できうる塩分対抗策としては、生活に近い場所に保管し、たまにハンドルを回してあげることです。倉庫や車のトランク内、船内などすぐに触れない場所に保管せずに、枕元だと最高に愛を感じますが、せめて自分の部屋内で目で見える場所に保管すると、塩との戦いに勝利することができます。試してみてください。