こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、あまり見なくなった珍しいリールのオーバーホールです。
ABUカーディナル6Xというリールで、ウエダのロッドと合わせて、シーバスと戦っていたクールなアングラーからのご依頼です。
このリールは基本的にはカーディナル33とよく似た構造になっていて、OHのプロセスもほとんど同じです。
まずさすがの海水域で使っていただけあり、ラインローラーが錆びて固着しています。
浸透力の極めて高いMBOオイルをほんの少し塗布して、1分くらい待ってからナットを回すと、不思議と軽く外れます。普通のオイルを注してもあまり実感したことがありませんが、このオイルは固まったネジに効果抜群なので本当に助かっています。
取り外したナット、スペーサーなど錆が出いているパーツはすべて錆び除去、防錆処理を行います。
カーディナルシリーズによくあるトラブルが、ベールの動作不良です。最も多いのは起こしたベールがハンドルを回しても戻らない、途中で止まってしますという症状です。これは、スプリングの破損、汚れによるものや、分解清掃後組み上げに失敗していることが多いですが、中にはベールの変形やベールマウントの摩耗などもあります。
今回は汚れとベールの変形が若干あり、ベールが戻らなくなっていましたので、各部調整により正常な動作になるようケアしました。
ギア周りはそれほど摩耗しておらず、年代の割には良好な状態でしたので、清掃グリスアップによりこの状態を維持できるよう整えておきます。
コネクティングリンクというギアとメインシャフトをつなぐパーツもわずかな変形だけなので、若干の整形で大丈夫でした。
プラスティックパーツは、乾燥して色あせしていますので、魔法のベール(シリコンジェル)で表面保護を行ない活き活きとしたコンディションに仕上げました。
ハンドル回転についても、当初よりしっとりとした滑らかな感じになりましたので、ヘビーに使用しても大丈夫な状態に戻っていると思います。
オールドリールは手を抜くとすぐに調子が崩れますので、最新のリールよりちょっと特別扱いしてあげてもいいかなと個人的には思います。