シマノ ステファーノSSのクラッチ不良

こんにちは Selffishの鈴木です。

今回は、シマノ ステファーノSS100HGのクラッチレバーが動かなくなったとのことで、修理依頼となりました。海用のベイトリールで最も起こりやすいトラブルがこのクラッチ動作不良です。

ほとんどの場合はクラッチレバーが固くて押すことができない状態になりますが、稀に押された状態のレバーがそのまま戻らないケースもあります。こうなる場合の原因は、ピニオンギアの錆びによる固着で、ピニオンギアの上下を支持するベアリングのどちらか、あるいは両方が接着されたようにくっついています。

こうなると力で押しても動きませんので、あまりしつこくレバーを押すとレバー自体が破壊されてブラブラの状態になります。ほとんどのクラッチレバーはプラスチック製で、1か所だけを木ネジで固定している構造のため、意外に簡単に割れてしまいます。力では解決しないケースになりますので、ゆっくりと分解して固着をはがしていくしかありません。

この固着は、分解作業にも大きく影響します。ピニオンギアの片側だけが固着しているときはまだ良いのですが、ハンドル側、スプール側の両方が固着していると、本体カバーがとれないので、注油しようにも注油すらできないという状況になります。その場合、スプールが外れれば、スプール軸が入るピニオンギアのセンターにシリンジを差し込み、注油するというイレギュラーな方法で固着をはがしていきます。

今回のリールはピニオンギアの上側(ハンドル側)が固着していましたので、少しずつカバーを外すことができました。分解した各パーツを錆びの除去、グリスアップしながら状態をみていきます。

するとピニオンギアに違和感を感じたため、ギアの溝と歯を拡大鏡でチェックしてみることに。

 

ピニオンギアの歯に何か固いものを挟んだようなつぶれがありました。

ベアリングが本体内部で破損したり、ベアリング止めという針金のようなパーツがとれてしまうとギアの歯につかまり、硬度が低い真鍮のギアが変形することになります。ベアリングの素材も、ベアリング止めの素材もステンレス製なのでギアを変形させるには十分は硬さがあります。

すべての部分の錆びを予防する方法はあまりないのですが、錆びたまま放置すると被害が拡大する箇所だけは、グリスシールなどで強化しておくという対抗策で戦うしかなさそうです。

ギア交換をすればすっきり改善しますので、修理不能というわけではありませんが、できればギアは摩耗による交換というパターンがしっくりきます。

 

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