こんにちは Selffishの鈴木です。
今回は、シマノ初代アンタレスシリーズのバリエーションの一つであるスコーピオンアンタレス5のオーバーホールです。クラッチの戻りが悪いときがあるので、できれば改善をということですが、この方は対処法も心得ていらっしゃるので、釣りが中止になることはありませんでした。(リールを横から軽く叩く方法です)
このリールは、1998年に衝撃的なデビューとなった初代アンタレスのパワーバージョンで、翌99年に発売したバリエーションの一つです。ギア比が5.0で42mmロングパワーハンドルを装備したモデルで、3/4~1ozクラスの大型のスピナーベイトや巻き抵抗の大きいディープクランクなどを軽快に巻き取ることができ、キビキビとした動きを出せる特別なアンタレスです。直径37mmの大口径GスプールやSVSブレーキシステム、ダンパー付きフリップオープン機構を備えています。初キャストで度肝を抜かれたルアーマンがものすごい数存在する不朽の名機です。
今回はクラッチ動作に関わる部分を重点的に見ていきます。
全体的に汚れは少なく、動作不良の原因となりそうな錆びなどもありません。
カーボンワッシャーを採用しているため、ギア周りに黒い汚れが出ますが、グリスが黒くなり液状化している症状なので、きれいに除去して新しいグリスを薄く再塗布します。こちらのワッシャーは簡単に割れるので取扱い注意です。
レベルワインド周りも、若干の汚れ程度なので、清掃・グリスアップで良い状態に戻します。
クラッチレバー周りの汚れもそれほどなく、動作が緩慢になる感じはありません。唯一クラッチレバー取り付け部の座金が若干錆びており、引っ掛かりやすくはなっていたかもしれません。
クラッチツメとバネの動きが悪いと、クラッチが戻らなくなるのでこちらもチェックしておきます。
清掃・グリスアップにより動作はスムーズになりましたので、恐らく動作不良は出なくなっていると思われます。念のため100回程度クラッチのオンオフを試行してみましたが、動作に問題はありませんでした。
この機種のクラッチ構造は、現在のベイトリールとは少し違って、クラッチレバーを押し上げることで連結状態に戻すことができませんでした。そして、クラッチレバーを最下点まで完全に下げないとハンドルを回してもクラッチが戻らない構造のため、ロッドのリールシート周りの形状によってはクラッチレバーが完全に最下点まで落ちないものがあり、専用のリールフットスペーサーが付属していました。原因の可能性としてはこちらもありますので、チェックしてみると良いです。クラッチがどうもおかしいと感じるときは、スペーサーを試しに入れてみると改善できるかもしれません。